体は小さいが、心は大きいんです!
ポツポツと雨が振りだした。
アパートまで後5分位の所だった。

「うわ、走るぞ、埜々香!」

「あ、はい!」

手を引いて走り出す。
無意識に『埜々香』と下の名前で呼んでしまったので、彼女がちょっと固まったようだった。

だって、埜々香って呼びやすくないか?
もう、職場でも埜々香で良いんじゃないか?

そんな事を考えながら走って、結構な土砂降りの中を埜々香のアパートに着いた。

二人とも濡れ鼠だ。


「あぁ!!」

埜々香が玄関の前で鞄やポケットの中を漁り出す。
これは、、、、、。

「かちょ~!どうしましょう!
鍵がありませぇん!!
多分、会社のロッカーの中ですぅ~!」

焦りからか、舌足らずで上目使いで、可愛い事この上ない。

「取りあえず、俺のアパートに行くぞ。
このままじゃ、風邪引くからな。」

多少強引に彼女を連れて部屋へ帰った。

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