愛の妄想劇場「イケメン兵器が世界を滅ぼす日」
海パンで愛を叫ぶ
あれから1か月ほど過ぎた。

愛するクローンの東夷くんは去ってしまい、スクラップ処分になっただろうか。

何気なくつけたテレビの「芸能人だらけの水泳大会」

アイドルは【トイレにはいかない】と信じられていたようなそんな時代の人気番組だ。

そして恋愛禁止というのも、当たり前だった。堂々と交際宣言するなどあり得ない。

そんな中、クローンではない東夷くんが登場した。私は今は亡きクローンの東夷くんを思い、涙が溢れた。

しかし次の瞬間、涙が乾いた。
東夷くんがはいていた海パンは紛れもない、私がプレゼントしたものだった。

【東夷くん、吉沢理央】と名前の書いた相合い傘の刺繍入りの海パンだった。

水泳大会の司会者は困惑している。クローンだとは気がついていないようだった。

インタビュアーが意を決して、おかしな海パンを履いている私のクローンの東夷くんにインタビューする。

「東夷くん、ずいぶん大胆というか、斬新というかすごい海パンですね。吉沢理央って誰ですか?」
クローンの東夷くんは爽やかな笑顔で、「吉沢理央は僕の愛する彼女です。理央、見てる?これ終わったらむかえに行くからね」カメラに向かって手を振る。

アイドルの有り得ない【彼女がいる】発言に、
生放送の撮影現場はパニックになった。
「カメラを一旦止めろ!別の映像に切り替えろ!」

テレビのブラウン管には「しばらくお待ちください」のテロップが写し出された。

後から知ったことなのだが、東夷くん本人が過労でダウン。廃棄予定だった私の愛するクローンの東夷くんが、東夷くん本人の忠実なクローンだった事から、身代わりで本人になりきっていたのだった。

後日全国に向けてネタバレをし、今は、私の愛する東夷くんクローンは東夷くんの影武者となり活躍している。

もうじきクローンの東夷くんが、私を迎えに来てくれる。その日を指折り数えて待っている。

そこの貴女は、これを読んで、愛する芸能人のクローンを欲しいと思いますか?

おわり


< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~

総文字数/100,369

恋愛(キケン・ダーク)184ページ

表紙を見る
俺、看取り専門、レンタル彼氏。

総文字数/3,421

その他1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop