大空へ向かって


「栄助。いきなりすぎだしぃ!」



「だって、1年経つんだし、挨拶位…。」



「いつかは、言う気だったけどさぁ…。」




何より、自分の部屋に栄助が居ることが不思議だった。




栄助は 麗美のぬいぐるみなどを触って遊びまくっていた。



「なんか、不思議な匂いがするんだけど…。」



「人の部屋の匂いにいちいち、口出しするな!」



「でも、可愛い部屋じゃん!」




誉められたら、なんだか照れる…。




その日の夜…。


夢を見た…。





それは、夢には感じないほど、リアルだった。





麗美は なぜか制服を着ている…。



学生なんだから、当たり前じゃんと思うだろう…。




だけど、白いセーターを着ていた。



ブレザーなのだろう。


髪はパーマを当てていた。



麗美の学校は セーラーだし、麗美は ストレートヘアだ。




でも、確かに自分で…



空を見上げて泣いてた。




あの涙の感覚…。



胸の中の、穴の空いたような、寂しい感情。




すべて、今でもよく覚えている。





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