ボーイズロード ―second season―
「ばか、違うってば」

「目、泳いでますけど」

「泳いでないし」


「あのね、琢哉は隠し事なんてしても、すぐバレるようにできてんだよ。

あんたがあたしに会いたそうにしてるから、新名くんが用事頼んだんでしょ?わかるんだから、そんなの。

今度はちゃんと会いたいって言ったら?むしろ、今言ってもいいんだよ?」


さやかが笑いながら俺の腕をバシッとたたく。たまにこういうおばさんっぽい仕草を見せるけど、ホントにできた彼女だと思う。


「ところでニッキ飴食べない?」

「話逸らしたな。しかもいらないし」


会いたいなんて恥ずかしくて言えないけど、でもこれからは会いたくなったらいつでも会いに行こう。


「あたし、前テレビで見たんだけど、ニッキってクスノキ科なんだって」

「だから何?」

「楠木家で食べればいいと思います。ちょうど4つ。四人家族にぴったり」


ウチは姉ちゃんが家を出てるから、今は実質三人家族。それでもさやかは俺の学ランのポケットに飴を4つねじ込んだ。


……いらねっつーの。

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