ボーイズロード ―second season―
「だけど、麻由だって鍵盤担当の曲、なんぼかあったよね」


パーカッションは楽譜が配られたら、誰かどの楽器を担当するか決めるところから始まる。

大体は3年生が、ちゃちゃっと決めてしまうんだけど、今回の定演の曲目は俺が中心となって担当を決めた。


パーカッションの二年生は俺一人だけ。三年生が引退後、自動的にパートリーダーの席に座ることになる。

もちろん今回のパート割りも、先輩方のアドバイスを受けながら決めたし、演奏する本人達の確認も取っている。


つまり、いまさら不満なんて言われたら、めちゃくちゃ困るんです。だって、担当を決めてから3週間は経ってるもん。


「鍵盤は4曲ありました。でも、全部初見でできるような曲ばかりです」


定演で演奏するのは、アンコールを含め13曲。
麻由は入部してから一ヶ月しか経っていないし、あまり負担をかけさせたくなかった。


それにしても、楽譜が読めるって強い。俺は初見なんて絶対無理だし。だからこそ、麻由には物足りなかったのかもしれないけど。

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