ボーイズロード ―second season―
俺は、主にティンパニやシンバルを担当するため、鍵盤はあまりやったことがない。

それでも少ない経験の中でも、学んだことはあった。


「鍵盤の叩き方はきちんと身に着いたの?

たとえば、グロッケン(鉄琴)を叩くときなんかは、音がつぶれてしまわないようにとか言われなかった?

それはできるようになったの?」


「……」


「簡単な曲を割り当てたのは、基本を身に着けて欲しいからだよ」


パーカッションは管楽器と違い、叩けば誰でも音がなる。

確かにそれだけなら幼稚園児でもできる。

だけど、ただ叩くだけではなく、きれいな音を作らないとならない。それも正確なリズムで。


「でも、タンバリンでこれから一時間も練習するなんて……」


ああ言えばこう言う。最近の麻由は敬語こそ使うものの、発言に遠慮がない。

場の空気に慣れたせいもあるけど、彼女の場合は脳みそと口が繋がっているんだと思う。

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