ボーイズロード ―second season―
別に気まずい訳じゃないんだけどさ。なんか恥ずかしくなっちゃうし。

逆に二人きりなら話せたと思う。石川は友達と歩いているし、こっちもニーナがいるし、だから恥ずかしいって思うんだ。

早く教室に入らないと。


「お、石川じゃん。今日生物の教科書持ってる?貸してくんない?」


やられた。ニーナが大きな声で石川を呼んでしまったのだ。

俺も教室に入るタイミングを逃してしまって、ニーナの横で愛想笑いみたいなことをしていた。


石川は一瞬だけ俺の方も見たけど、すぐにニーナの方に向き直る。


「仕方ないなぁ。私の教室こっから遠いんだけど」

「いいよいいよ、ついてくよ。若も来る?」


え、なんで!?なぜかギクッとしてしまった。


「石川7組だろ?遠いし行かない」


そう言って慌てて教室に入ってしまったけど、その後で俺は少しだけ後悔してしまった。

多分ニーナについていったら、心は躍ってかもしれなかったのに。

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