Deep lover...
美結side・あたたかさ
…あの日以来、あたしはまだ、夢を見ているようだった。
毎日のように
翔と過ごした日々の夢を見る。
甘い甘い夢を…。
―――…
「突然呼んじゃってごめんねー」
「ううん。あたしも麻生君にお礼言いたかったし」
「お礼?」
「ライブのチケット、ありがとうね」
「あぁー。あんなのお安い御用だよ。
だって俺、メンバーだし」
「Σえっ?!」
「あ。やっぱり気付かなかった?
俺、「Heavenly」のドラムなんだよ」
「ごめ…あたし翔しか見てなく…っなんでもないっ!」
「はは。解りやすい意見だね。
…美結ちゃんさ、会う気ない?翔と」
「え…」
会う?
翔と?
「いいっ!!会わない!
だって、ほら、あたし…彼氏いるし」
「…それが美結ちゃんの本音?
会えないって言うなら無理にとは言わないよ。
だけど、次のチケットは渡しておくね。
気が向いたらおいでよ」
そう言って、麻生君はチケットを置いて行った。
だけどあたしは、次のライブには行かなかった。
ステージで歌っている翔は
とても輝いていて
スポットライトの光は
目を開けれないくらい眩しくて
あたしの視界から翔を奪う。
あたしから翔を奪う…。