Deep lover...
直先輩と付き合い始めて2ヵ月目の5月24日。
あたしの財布の中には
あの日麻生君から貰った、ライブのチケットが入ったままだ。
捨てるにも、捨てれなかった。
その日も輩は、家まであたしを送ってくれた。
もう2ヵ月も経つというのに
まだ…手も繋いでいない。
「美結」
「ん?」
少し口ごもって、あたしの顔を真っ直ぐに見て言った。
「あのさ、今度、俺の家来ない?」
「ぇ…」
唐突な言葉だったけど、それが何を意味しているのか解った。
「や、美結が嫌なら別にいーんだけど」
あたしは返答に困って、俯いた。
とにかく何か言わないと、と思って顔をあげた。
その時、見つけた。
翔の姿を…。
「美結?どうしたの…?」
あたしが茫然と何かを見ているのに気付いて、先輩も後ろを振り向いた。
翔の視線が先輩に移り、少しずつ近づいてくる。
「ちょっとおいで」
翔はあたしの手を無理矢理引いて歩きだした。
温かくて、大きな手…。
一年ぶりに感じた、人の手の温もり。
翔の温もり…。
あたしの財布の中には
あの日麻生君から貰った、ライブのチケットが入ったままだ。
捨てるにも、捨てれなかった。
その日も輩は、家まであたしを送ってくれた。
もう2ヵ月も経つというのに
まだ…手も繋いでいない。
「美結」
「ん?」
少し口ごもって、あたしの顔を真っ直ぐに見て言った。
「あのさ、今度、俺の家来ない?」
「ぇ…」
唐突な言葉だったけど、それが何を意味しているのか解った。
「や、美結が嫌なら別にいーんだけど」
あたしは返答に困って、俯いた。
とにかく何か言わないと、と思って顔をあげた。
その時、見つけた。
翔の姿を…。
「美結?どうしたの…?」
あたしが茫然と何かを見ているのに気付いて、先輩も後ろを振り向いた。
翔の視線が先輩に移り、少しずつ近づいてくる。
「ちょっとおいで」
翔はあたしの手を無理矢理引いて歩きだした。
温かくて、大きな手…。
一年ぶりに感じた、人の手の温もり。
翔の温もり…。