Deep lover...
近くの公園まで来て、翔はあたしの手を離した。

ゆっくり振り向く翔の姿を見れなくて、あたしは俯いた。


「美結…」













あたしを呼ぶ声。

変わらない。






















「美結」


「…っ!?」


翔の手があたしの両頬に触れたかと思うと、ぐいっと顔をあげられて、視界に翔が入った。


「美結…」


「離して!!」


翔の手をはらって背中を向けた。






頬が熱い。

手が熱い。















「美結…」


「…もう美結って呼ばないで」


優しくあたしの名前を呼ぶ翔に、あたしは最低な事を言った。

しばらく翔は黙り込む。












「…さっきの、彼氏?」


「…そうだよ。彼氏」


「…ふーん」












そのまま、少しの沈黙状態が続いた。

翔がどんな表情で何を思ってるのか
確かめる勇気がなくて、あたしはその場に立ち尽くす。
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