Deep lover...
新しい彼氏・翔の彼女
「Heavenly」が人気になる程
あたしは余計にむなしくなった。
「あたしだけの」翔が
「あたし以外の」翔になっていく気がして…。
そんな想いは誰にも悟られないように
普通に生活をした。
…しようとした。
―――…
「ねぇ、黒崎さんって彼氏とかいないの?」
バイト先の先輩に訊かれた。
このパターンは決まってる。
「いないですよ~」
…こう言うと大体…
「本当に?!じゃあ俺と付き合わない?!
前から黒崎さんの事可愛いって思ってたんだ!」
「いいですよ」
そして、また新しい彼氏を作った。
好きでもないのに
最悪なあたし。
「さ、帰ろうか。送ってくよ」
「はい」
バイト先の先輩、矢島 直先輩と付き合い始めてから一週間。
バイトが終わってからはいつも家まで送ってくれた。
他愛のない話をして、笑って。
久しぶりの感覚だった。
先輩となら、上手く付き合っていけそう。
「じゃあ、また明日ね」
「はい、おやすみなさい」
先輩の笑った顔、好きかも。
後ろ姿を見送ってから、あたしは家に入った。