忘れたはずの恋
「こんなので喜んでもらえるなら、いくらでも見せますよー!!」
と言って藤野君はTシャツを捲り、腹筋を見せてくれた。
「…どうしたらこんなに割れるの?」
「ひたすらトレーニングですっ」
少し照れながら言う藤野君。
「触りますー?」
私に茶化し気味に言うけれど、どことなく恥ずかしがっている雰囲気を漂わせている。
「じゃあ、触ります」
綺麗な筋肉の付き方をしている人っていいなあって思っていたけれど。
身近では全くいなかった。
それがこんなに近くにいるなんて、ちょっと嬉しい!!
「バイクに乗るのに、こんなにも鍛えないといけないとだめなの?」
少しだけ、お腹を触らせてもらって、止めた。
私が触ると穢れそうなくらい、見事な体つきだった。
「そうですね。やはり体力勝負なところはありますからね」
その瞬間、ほんの少しだけどサーキットで見せるあの顔になったけれどすぐに笑顔に戻り
「吉永さんが元気になるなら、いつでも見せますからねー!!」
そう言って藤野君はTシャツを下ろした。
ああ…。
私、今、一瞬だけ。
ちょっと胸が苦しくなった。
「今日はもう、ゆっくり休んでください」
そう言って、抱きしめられる。
「…また泣いたら、もっと目が腫れますよ?」
藤野君。
今、私が泣いているのはどういう意味か分かる?
必死に抑えようとしている感情が、溢れているのよ?
「明日、目が腫れすぎて家に帰れなくなりますよ?」
…それでもいいって。
思った自分がここにいる。
「…ごめんね」
そう言うのが精一杯。
本当にごめん。
情けない身の上話を延々として、号泣。
そして、好きになってはいけない君を好きになってしまった。
「謝らなくてもいいですよ。
それよりも吉永さんが落ち込んでいたら職場でも周りが心配しますしね。
僕も早く吉永さんには元気になってもらいたいです」
その腕に少しだけ力が込められた。
やがて私も落ち着いてきて、急に眠気が襲ってきた。
少しずつ、意識が遠のく途中。
「…これ以上は勘弁してください。
これでも必死に我慢しているんですから」
藤野君の囁きが聞こえた。
目を開けようとするけれど、泣きすぎて瞼が重い。
開けられないまま、私の意識は飛んでしまった。
と言って藤野君はTシャツを捲り、腹筋を見せてくれた。
「…どうしたらこんなに割れるの?」
「ひたすらトレーニングですっ」
少し照れながら言う藤野君。
「触りますー?」
私に茶化し気味に言うけれど、どことなく恥ずかしがっている雰囲気を漂わせている。
「じゃあ、触ります」
綺麗な筋肉の付き方をしている人っていいなあって思っていたけれど。
身近では全くいなかった。
それがこんなに近くにいるなんて、ちょっと嬉しい!!
「バイクに乗るのに、こんなにも鍛えないといけないとだめなの?」
少しだけ、お腹を触らせてもらって、止めた。
私が触ると穢れそうなくらい、見事な体つきだった。
「そうですね。やはり体力勝負なところはありますからね」
その瞬間、ほんの少しだけどサーキットで見せるあの顔になったけれどすぐに笑顔に戻り
「吉永さんが元気になるなら、いつでも見せますからねー!!」
そう言って藤野君はTシャツを下ろした。
ああ…。
私、今、一瞬だけ。
ちょっと胸が苦しくなった。
「今日はもう、ゆっくり休んでください」
そう言って、抱きしめられる。
「…また泣いたら、もっと目が腫れますよ?」
藤野君。
今、私が泣いているのはどういう意味か分かる?
必死に抑えようとしている感情が、溢れているのよ?
「明日、目が腫れすぎて家に帰れなくなりますよ?」
…それでもいいって。
思った自分がここにいる。
「…ごめんね」
そう言うのが精一杯。
本当にごめん。
情けない身の上話を延々として、号泣。
そして、好きになってはいけない君を好きになってしまった。
「謝らなくてもいいですよ。
それよりも吉永さんが落ち込んでいたら職場でも周りが心配しますしね。
僕も早く吉永さんには元気になってもらいたいです」
その腕に少しだけ力が込められた。
やがて私も落ち着いてきて、急に眠気が襲ってきた。
少しずつ、意識が遠のく途中。
「…これ以上は勘弁してください。
これでも必死に我慢しているんですから」
藤野君の囁きが聞こえた。
目を開けようとするけれど、泣きすぎて瞼が重い。
開けられないまま、私の意識は飛んでしまった。