忘れたはずの恋
「…何か、悩んでます?」
仕事が終わってから吉田総括と行ったお店は、落ち着いた雰囲気の居酒屋だった。
「…悩んでいるのが見えますか?」
吉田総括は大きく頷いて
「見えますよ。
仕事にも集中出来ていないのが見えます」
「…すみません」
本当にすみません、それは申し訳なく思います。
吉田総括の様子を伺うような表情をしていると手を振りながら
「ミスはしていないのでその点は大丈夫ですよ」
と苦笑いをしていた。
「さて、本題に移りましょう」
優しい目の総括が少し鋭い目をした。
私の背筋も伸びる。
「悩んでいるのは藤野の事ですか?
…それとも、近藤君?」
顔が思わずひきつる。
この人は何でもお見通しなのか…
私は大きく深呼吸をした。
「…一体、何からお話したら良いのでしょうか?」
「吉永さんが今、思い付くままに言ってくださって結構ですよ」
頷いて、大東さんに釘を刺された事。
総括も知っている元カレの事件の後、藤野君の家に泊まった事。
その後、近藤さんに告白された事。
今まで胸に止めておいた事を吐き出した。
自分でもよく話したな、と思うくらい一方的に話をしたけれど、総括はずっと相槌を打って聞いてくださった。
「…で、吉永さんの気持ちはどこにありますか?」
ようやく総括が口を開いた。
「…どこに、ですか?」
「そう。
恋愛に疲れたから一人でいたいですか?
それとも…この人となら一緒にいたいって思う人、います?」
その瞬間、顔が浮かんだのは…。
「あれ?総括と吉永さん」
新規のお客さんが入ってきたな、と思ったら。
相馬課長と藤野君だった。
「…計画の作戦会議中です」
吉田総括の言葉に二人はプッ、と吹き出していた。
「二人ともこんなところまで仕事の話だなんて…好きなんだね、仕事!」
相馬課長のニコニコした顔を見たら少し緊張が解れた気がした。
仕事が終わってから吉田総括と行ったお店は、落ち着いた雰囲気の居酒屋だった。
「…悩んでいるのが見えますか?」
吉田総括は大きく頷いて
「見えますよ。
仕事にも集中出来ていないのが見えます」
「…すみません」
本当にすみません、それは申し訳なく思います。
吉田総括の様子を伺うような表情をしていると手を振りながら
「ミスはしていないのでその点は大丈夫ですよ」
と苦笑いをしていた。
「さて、本題に移りましょう」
優しい目の総括が少し鋭い目をした。
私の背筋も伸びる。
「悩んでいるのは藤野の事ですか?
…それとも、近藤君?」
顔が思わずひきつる。
この人は何でもお見通しなのか…
私は大きく深呼吸をした。
「…一体、何からお話したら良いのでしょうか?」
「吉永さんが今、思い付くままに言ってくださって結構ですよ」
頷いて、大東さんに釘を刺された事。
総括も知っている元カレの事件の後、藤野君の家に泊まった事。
その後、近藤さんに告白された事。
今まで胸に止めておいた事を吐き出した。
自分でもよく話したな、と思うくらい一方的に話をしたけれど、総括はずっと相槌を打って聞いてくださった。
「…で、吉永さんの気持ちはどこにありますか?」
ようやく総括が口を開いた。
「…どこに、ですか?」
「そう。
恋愛に疲れたから一人でいたいですか?
それとも…この人となら一緒にいたいって思う人、います?」
その瞬間、顔が浮かんだのは…。
「あれ?総括と吉永さん」
新規のお客さんが入ってきたな、と思ったら。
相馬課長と藤野君だった。
「…計画の作戦会議中です」
吉田総括の言葉に二人はプッ、と吹き出していた。
「二人ともこんなところまで仕事の話だなんて…好きなんだね、仕事!」
相馬課長のニコニコした顔を見たら少し緊張が解れた気がした。