柊くんは私のことが好きらしい

『……元気なかったの?』
『ひまりが好きってこと』


かっと頬が熱を帯びる。


……まさか、そんな。デートしたときも?


ふっくんに教えてもらったクレープ食べたいなんて言ったから? あと私なんて言ったっけ。ふっくんに彼女いてもおかしくないとか言わなかったっけ。


ぐるぐる考えているあいだも柊くんは私の様子を窺っていて、早く答えなければと焦った。


「え……と、ふっくんは、どっちかといえば女友達、みたいな感じで……。て、いうか……もしかして、柊くんが機嫌悪くなったのって、私がふっくんに、クレープ屋さんのお礼言った、から……?」


おずおずと答えつつ尋ねれば柊くんは口をへの字に曲げる。はじめて見た、そんな顔。


「アイツ、ひまりに馴れ馴れしいんだもん。自分のほうが仲いいみたいに、すぐ話しかけるし、お菓子もらうし。俺だって少しは人の目気にしてんのに、そんなの馬鹿らしくなるほど福嗣は気にしないし。声でかいし。言ったそばから忘れるし。なんなのアイツ思い出したら腹立ってきた」


こ、ここぞとばかりに不満が……。


気に食わなそうに、拗ねた表情の柊くんは怖いどころか、かわいく見えた。


「……ふたりに土曜のこと話してなかったのって、どこに行ったか、言いたくなかったから……?」


より口を尖らせた柊くんは、間を置いてから「そうだよ」と認める。
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