柊くんは私のことが好きらしい
あれから1週間、体育で行われる練習試合では応援合戦が恒例になりつつあって、便乗してみるも、恥ずかしさが邪魔をしてうまくできない。
腹から声……腹から……もじもじしてたかな、そんなに。想像したら消えたくなってきた。
いや、でも。応援できたらそれが1番いいけど、応援だけをしたかったわけじゃないというか……まあ咲の言う通り割り込めなかった時点で負けてるんですけどね!
「はあああ……」
長い上に重いため息をこぼせば、背後で試合終了のホイッスルが鳴り、コート周辺の騒がしさが増しているのは見なくてもわかった。
このまま第二試合もやったりするんだろうか。それとも女子と交代かな。うわあそれは嫌だ。
今横居さんと対戦したら追跡機能ついてんのかってくらい執拗に狙われそう。でも避けるの得意だしな。もしかしたら勝てるかも? いやそんなことより、誰のどんな試合になろうと次こそ私もあの輪の中に……!
「わ、」
割って入るんだ!と意気込み立ち上がった私が振り返ると、なぜか真後ろにいた柊くんの驚いた顔と鉢合わせた。ち、近っ!
「はは。すごいタイミング」
仰け反った私に向けられる、ほがらかな笑顔。
ギュン! 胸が……っギュンッてなった!! なんでだ。いつも見てるのに!