柊くんは私のことが好きらしい

「ごめん。びっくりさせた」

「こっちこそ……! ど、どうかしたっ?」

「ひまりはどうしたの」


へあ? 声は出さなかったものの間抜けな顔をした私に、柊くんは「急に立ち上がって」と聞いてくる。


「あ、ああ……えと、試合終わったみたいだから、私も……頑張ろう、かと」


なぜ……そんなに嬉しそうな笑顔を浮かべていらっしゃるの、か。


「俺も次、また試合」

「そう、なんだ……?」

つまり男子の第二試合ってことだから、私の出番なさゲーム。

「じゃあ応援に、」

「男女混合ゲームすることになったから」

「……、……へ?」


だからなぜそんなに嬉しそう……ていうか今、男女混合って言った? そして手を、掴まれた?


「えっ!? えっ、嘘でしょ、待って……私!?」


先ほどまで試合が行われていたコート内にみっちゃんや小鷹くんの姿が見えて、あのチームに入るんだと理解した。


むり無理ムリ!! 相手コートに横居さんがいるよ!? いや避ける自信はあるけども! あくまで女子対女子を想定していたのであって!


「足引っ張る姿しか思い浮かばない!!」

「頑張るんでしょ」


ヒィイイイイと逃げ腰になっている私に見向いた柊くんは、やっぱり笑顔のまま。


……確かに、頑張ろうかとは、言ったけど。


「それとこれとはさあ!」

「ははっ。大丈夫だいじょーぶ」


何を根拠に!!
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