柊くんは私のことが好きらしい
「わはは。これでまたジュースゲットー」
「なんなの! ていうかメグも手加減してよぉ~っ」
思い出してキュンキュンしてる場合じゃなかった。
気付けば横居さんが素早く柊くんへ得意のボディータッチを炸裂させている。
「小鷹が本気だからつられた」
「巻き込むなよ」
嫌そうな小鷹くんにけらけら笑う柊くんは気付いているのかな。横居さんの、気持ち。
「ていうか、やっぱ最強だよね。ひまりんの変わらない守備力」
「それな! 最後まで逃げきってくれればいいと思ってたけど、俺ら外野が攻撃できないから、そろそろボール取ってくんね!?って言ったらさ」
「キャッチできたんかい!!ってね。あれは笑ったわー」
みっちゃんとふっくんの会話に、敵チームの男女も同意して笑ってくれる。横居さんが「えー」と不満げな顔で柊くんの横に立っているので、私は何も言えず。
「高遠ちゃんは守備専門だから当たらずに済んだけどぉ。あたしだってボール奪ったり、最後まで頑張ったのにー」
「その爪でよくボール扱えるよな」
「もう慣れたし。かわいくなーい?」
小鷹くんのひと言でうまく話題転換した横居さんは、自身のきれいなネイルアートを見せびらかし始めた。
興味深げに覗き込む柊くんも柊くんだけど、その間にフフンと視線をよこす横居さんもあざといというか……ちょっと悔しい。