柊くんは私のことが好きらしい

「あーあ。また邪魔されちゃったね」

「昔っからなんだよ。イケメンには金魚のふん」


……驚いた。いつも横居さんと過ごしている――私と柊くんのプリクラを見て騒いだ男女が、そんな風に話し掛けてくるから。


「え、と……?」

「何なにー。金魚のふんって、横居っちが?」


戸惑う私を置いて、そばにいたみっちゃんが混ざってくる。そうだよーって、そんな軽く返されても……。


ふたりはどうやら横居さんと小中同じ学校だったらしく、彼女のことはよく知っているようだった。


「とにかくイケメンが大好物なの。見ての通り、放っとくとお気に入りまで一直線」

「しかも自分が1番最初に見つけたんだーって、敵対心丸出しな。俺らは呆れ通り越して笑っちゃうけど」

「メグも優しいよねえ。ちょっとくらい冷たくあしらったって、傷付かないよって言ってんのにさ」

「……」


えーと。つまり、どういうことだ?

みっちゃんと視線を交わらせた時点で、答えは出ているようなものだけれど。


「横居っちって、メグが好きなんじゃないの?」


そう、それ。どう考えても好きだよね?


「好きも好き。大好き! ダントツでお気にだもんねー」

「……お、気に入り、っていうのは……恋愛、的な意味、じゃなく……?」


少しの間のあと、どっと笑いが起こる。
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