柊くんは私のことが好きらしい

「あはは! やっぱそうなるよね!」

「アイツ、見た目は美人だからな。中身はまるきり幼稚園児のままだけど」

「好きなのは本当だけど、ぶっちゃけ私たちもよくわかんないんだよねー。またか、って放ってるくらいだからっ」

「ええ? それってメグからしたらいい迷惑じゃん」


確かにそうかもしれないんだけど……横居さんのこと、楽しそうに話す人たちだなあって思ってしまった。


「だからさ、メグには無視していいよって言ってんの。でも、高遠ちゃんにも言ったほうがいいかなーって。ね」

「あれはもう性分だからなー。邪魔されて腹立つかもしんないけど」


悪意のない笑顔が、大目に見てやって、と言ってるようで。


「……横居さんとも仲良くできたら、1番いいんだけど」


なんて返してしまう私はやっぱり甘いかも。


それでも私には私の世界があって、横居さんには横居さんの世界が続いているように、それぞれの場所で笑って過ごしていける理由が誰にでもあると思うから。


何にも縛られず、我慢することなく。私は自分なりに頑張れたら、それでいい。


単純なことじゃないけど、複雑にしてしまうのはいつも自分の気持ち。


難しく考えない。それが目下の、目標。


自信のなさを打ち明けてから、吹っ切れた部分は少なからず増えたんだ。これがきっと本当の、始めの一歩。
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