柊くんは私のことが好きらしい
「横居って、気に入ったイケメンは自分の理想通りでいてほしいらしいよ。顔が好きだから、中身も自分好みでいてくれないと嫌なんだって」
「……、そうなんだ」
「今、横居はメグのタイプじゃないなって思ったでしょ」
にやりと指摘してくる咲に、動揺が遅れてやってくる。
「っそ、そんなことはない!!」
「どーだか。ねー?」
ヒイ! いつのまにか3人ともこっち見てるし!!
「何が?」と首をかしげる柊くんの口角が上がってるのは、聞かれていたからじゃない! そう信じたい!
「な、なんでもないっ」
「えー」って柊くんはわかるけど、なんで咲まで被るんだ! 余計なことは言うな!
「これ! あげるからっ」
気になる素振りを見せる柊くんへ、渡し損ねたままだったカップケーキを人質にする。
見逃してくださいと言わんばかりの行動に、知らんぷりすればよかっただけなんじゃと後悔したけれど。そんなもの一瞬で吹き飛ばす、柊くんの笑顔。
匂いなんか嗅いでもチョコの香りしかしないだろうに……。
すると柊くんは何か企んだような笑みを浮かべたので、少し身構えた。
「ひまり以外のは食べちゃダメって言わないの?」
これだからモテる人は。
そんなこと聞いて、私にどうしてほしいんだろう。ダメって言われたいの? 赤面してほしいの?