柊くんは私のことが好きらしい

ほっと胸をなでおろしたのも束の間。


「できた? 見せて見せてっ」


手鏡で自分の顔を覗き込んだ柊くんにも、私へ注がれた視線にも、心臓がぎゅうっとなる。


ド派手にしてと言われたけれど、柊くんのフェイスジュエリーは左目の周りだけ。金銀のラメに、いくつもの小さなスワロフスキーに、1センチ弱のハート。立体的なそれらは、私の右目周りと同じデザイン。


「お、おそろい……って、目立つ、よね」


言ってるそばから真っ赤だよ!! 顔あっつ!


「……」


そして感想が返ってくるまでの、この時間ね! 死にそう! なんでもいいから何か言ってくださいお願いだから!


「何これ超ときめく」

「……」


真面目な顔して胸を押さえる柊くんは、ちっともときめいているようには見えないのに。


「アンタら、アホだね」


咲がそう言った途端、ぶはっと吹き出した柊くんも、きゅっと唇を結んだ私も、きっと同じ心拍数だ。


「やべえ、何これ。ははっ! ひまり最高!」


やられたー、と本当に楽しそうに笑う柊くんに、気付けば緊張や不安は消えて、笑い合うことができた。


「はー……ホントもう、」


くつくつと俯いていた柊くんが顔を上げる。


「抱きしめたいんですけど」
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