柊くんは私のことが好きらしい
Ⅱ・
私の全盛期は生まれた瞬間くらいだと思っていたけど、第二期があるなら今かもしれない。
告白されたことを家族にまで知られて以降、隙あらば『デートはしないの?』『名前はなんていうの?』と探られるようになった。
調べられるから絶対教えないけど、注目されるって、疲れる……。
ため息をこぼしながら到着した電車に乗り込む。すると眠たげな声で名前を呼ばれ、ふらふらと向かいのシートにふっくんが座った。
「おはよう。今日は1本早かったんだね」
「おー……今日はちょっとな。早く出た」
あくびをこぼすふっくんは携帯画面をタップしている。めずらしく同じバスに乗ってると思ったら、うたた寝してたもんな。
「で~? 最近どうなんすか、メグとは」
「急だなぁ」
「まあ同じクラスの俺からしたら、毎日がハイハイいちゃいちゃしてんなごちそーさまって感じですけどぉ」
「ならわざわざ聞かなくても……」
「いちゃいちゃを否定しろよ! ちくしょう!」
せっかく聞き流したのに蒸し返した本人が悔しがる、変な図。
ふっくんは彼女が欲しくてしょうがないみたいで、ことあるごとに突っかかって来るから受け流すのも一苦労だったりする。
家族といい同級生といい……なんだかなあ。
小さくため息を落とし、車窓の向こうへ視線を投げる。