柊くんは私のことが好きらしい

「ん。出てきた」


カコンと音を立てて出てきたプリクラ2人分を柊くんが取り出し、それを眺めながら内1枚を私に手渡してくれる。


最初から分かれてるのは楽だけど、すぐさま見られるのがなあ……。友達と撮るときは何も思わないのに。


「こういうこと書けばいいんだ」

「…………」

「男子ってプリ交換とかしないから……へー」

その反応はどっち? セーフ? 私、しくじってない?

「……しなくていいからね。誰とも交換しないでね」

「しないよ。自慢はするけど」


長方形のプリクラが、ほころんだ柊くんの口元を隠す。


私の落書きはセーフっぽいけど、自慢て。何を? 私とプリクラ撮ったことを? 隠し撮りされまくりの柊くんが?


取り出したままのプリクラを見る。そこには最新技術によりかっこよさ倍増の柊くんと、私の字ではない『初デート』の文字。


なにこれ胸が締め付けられすぎて呼吸困難。


「し、しなくていい! 誰にも見せないでね!?」

「このひまりかわいい」

「かっ、かわいくない! かわいくないからホントやめてっ」


柊くんみたいにかっこいい人にかわいいって言われても、こんな反応しかできないから! 嬉しいけども! 顔あっつ!


俯く私はくすりと笑われ、歩くよう促される。
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