柊くんは私のことが好きらしい

クレープはふっくんが熱弁していた通り、すごくおいしかった。ブルーベリーも、チョコバナナも。


近くにあったベンチで休憩がてら話したあとは、柊くんのバッシュや私のヘアアクセを買いに行ったり、地元の新しいゆるきゃらに遭遇したときは写真を撮ったりした。


特別大きなことをしたわけじゃないのに、柊くんはよく笑ってくれたように思う。それに、優しかった。徒歩ばかりで疲れてないか気遣ってくれたり、軽食がてら寄ったカフェではおごってくれたりと、今日は一段と優しかった。


「気持ちだけもらっとく」


19時過ぎ、駅へ向かいながら「送る」と言ってくれた柊くんに断りを入れる。


乗る路線は一緒でも、柊くんは高校の近くに住んでいるから、終着駅で降りる私より5駅も前だ。


「遠慮してる? 最寄駅まで送るよ」


駅に着いてもバスに乗らなくちゃいけないから、そこまで、って気負わせないように言ってくれているんだろう。


「いいの、ほんとに。柊くん明日、朝練ある日でしょ」

「そうだけど、30分もかかんないし。日も短くなってきたから、心配だし」


仮に何かあっても護身術は身につけているから大丈夫なのに。お父さんが美人過ぎる姉とかわいすぎる姉に伝授した技の数には到底及びませんけどね。
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