猪の目の酸化還元反応
「微かな光では駄目な気がするんですけど…」


「ほっとけ。あいつのは話半分が正解だ。」



才気はあるのだが口が悪いのが珠に瑕だと、竹馬の友びいきで思った。



「あれ?今、うちの編集長の声がした気がするんですけど、いました?」


「県、当たりだ。欣箸連れて戻ったぞ。」



姿見えずともな編集長で助かることもあるが、迷惑がほとんどであるから猶助は申し訳ない表情になる。



「丑辰さんどうです?近々見に行くって夢鼓さん言っていましたけど。」


「ああ、さっきまで予師稿先生とこに一緒にいたよ。先生も問題無いし、夢鼓さんも安心していたかな。」



次のアポがあると出てすぐ別れたが、新人としては出来た評価だった。



「本人がいないところでの噂話は良くありませんよ。たとえ良い事でも受け取り方はそれぞれですから、直接の方が嬉しいものです。」


「社長!」



疋友の社長にして週刊ホイストの名付け親、鐸蚯浚(サナキ キュウジ)。


山好きなのか週刊ダウンウォッシュと名付けようとして全力で止められた少し世間ずれした性格だが、廃刊にはギリギリまで待ったをかける社員と読者に寄り添う心意気を持った人物だ。
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