風の子坂を駆けぬけて
漣は彼等の2歳上で、小学校1年生。
やたらと健に学校自慢をするのが最近の楽しみらしい。
「いいか?ハンバーグはな、こうやって……ひっくり返す!」
漣はランドセルを放り投げ、2人の間に割って入るなり、早速小さなフライパンで見事裏返しを披露する。
「おおー!かっけーにいちゃん」
「だろーう!はい、どうぞ、ちゆーちゃん」
お皿にハンバーグを乗せ、知優の前に置く。
「まってまって!にいちゃんはだれなんだよ」
「は?だれって、にいちゃんはにいちゃんだろ。天才の、にいちゃんだろ」
「ちがう!ぼくはママだったんだもん。んでね、ちゆーちゃんはこどもなの」
遊ぶルールはちゃんと守りたい健は、すかさず説明。
「あー、はいはい。そゆことか。じゃあ、俺は……ちゆーちゃんのカレシ、だな」
「えーーーー!なにそれー!」
母親役を忘れ、健は漣に詰め寄る。