風の子坂を駆けぬけて

「やっぱさー、この4人じゃないとなんか変な感じだったよね」


胡桃があらたまって言うと、明日香が賛同する。


「ほんとー。落ち着かないっていうね」

「はははは、ごめんね。心配かけて」

「また一緒に漫画描こうよ」


照れくささを残しつつ知優が少し遅れて言う。


「もちろん!」


そう即答した沙耶が知優に向けた笑顔は、今までで一番元気で眩しいものだった。


珍しこともあるのだなと軽く思った知優だったが、その後すぐに妙な寂しさが胸に迫ってくるを感じた。

これも卒業式が近いせいなのかもしれないと、ぼんやりやり過ごすのだった。





丸一日自由に使える、学級の日。
式で歌う合唱練習を終えた後、クラス全員の姿が校庭にあった。

クラスのみんなで最後のドッチボールをすることになったのだ。

休み時間とは違うので、苦手な知優も強制参加。


しぶしぶではあったが、これが最後というならば参加するのも一つの思い出だと覚悟を決めた。




男子も女子も混ざった、混合2チームに分かれてのゲーム。


活発な明日香を筆頭に、白熱の戦いが繰り広げられた。







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