風の子坂を駆けぬけて
胡桃の家から歩いてすぐの小さな公園。
知優と胡桃のお気に入りで、遊ぶ場所の定番と言えば、その『どんぐり公園』だった
いつものようにすべり台のてっぺんで、拾ってきた小枝や木の実を広げて交換こ。
わざわざ高い場所で座っておしゃべりしたりするのは、違う景色に囲まれることすらも、二人の楽しみでもあったからだ。
「ねね、今日ね、俊平君がね、隣に来てね、ピンクの折り紙くれたの!胡桃が持ってなくていいなーって思ってたの。やっぱりさ、これって両想いってやつかなあ~」
にこにこしながら胡桃はおのろけをご機嫌に話す。
俊平(しゅんぺい)とは胡桃が大好きな同じクラスの男の子だ。
色々話を聞く限り、俊平も胡桃を気に入っているようには思えた。
「両想いって、2人が一緒に好き同士ってことだもんね、きっとさ、俊平君も胡桃ちゃんのこと好きなんだと思うよ」
知優は木の実をかき集めながら言う。