風の子坂を駆けぬけて
「……それが、赤い糸?」
半分疑いながらも、自分も同じ線がついていることを確かめる。
「ほらほら!ちゆーにもあるよ!すごいね胡桃達、運命の赤い糸で結ばれてる人がいるんだよ!」
はしゃぐ胡桃と打って変わって、知優は胸のドキドキが鳴りやまず、そっちに困惑していた。
『自分にとっての運命の人、それは、もしかして……、』
胡桃から赤い糸の話を聞かなかったら、きっとこのまま秘密にしていたのかもしれない。
初恋の事を。
「……胡桃ちゃん、あのね、私も好きな人いるんだ。たける君が好きなんだ」
驚きこそしたけれど胡桃は自分の事のように喜び、“赤い糸”がついている手を握り合い、
「一緒にがんばろうね!」
と、約束した。
そして、彼女は空に向かって手を掲げ、
「両想いがかないますように」
そう囁く。
つられるように知優も手を掲げた。
一番最初に打ち明けるのは胡桃がいいと思っていた。