風の子坂を駆けぬけて
ないしょ話
知優と沙耶が親しくなってからしばらく経った頃の事。
幼稚園も卒園まであと数か月という時期に、彼女達に新しい友達ができた。
彼女達のクラスに転入してきたのだ。
はきはきと物を言い、元気によく笑う女の子。
ツインテールとショートパンツがトレードマーク。
どこか少年ぽい無邪気さを感じさせる。
そんな彼女の名前は『明日香(あすか)』。
明日香も絵を書くのが好きで、知優達と親しくなるのはあっという間だった。
いつものように知優と沙耶が向かい合って絵を書いていると、
「いいなー、わたしね、ネコの絵得意だよー」
こっちの返事などお構いなしに、自分のらくがき帳を机にどんと広げると、サササッと書くとにっこり笑った。
そんな事がきっかけで絵を書く時間は3人になった。
というよりも絵だけではなく、移動する時間も手を洗う時間だって、3人で行動することが増えていった。