風の子坂を駆けぬけて
~第1章~
幼馴染
まだ2人が幼稚園に入る前のこと。
互いの兄と姉が同じ歳で、同じ年齢差の末っ子同士だった。
家も近所で兄達を同じ幼稚園に通園させていたことから親同士も親しくなり、兄達の送り迎えも付いて来ていた。
だから2人が仲良くなるのも、必然だったのかもしれない。
だけど、本当にそれだけだったのだろうか…………。
知優(ちゆう)、胡桃(くるみ)はそんな小さい頃から大の仲良しで、気が付いた時には『幼馴染』という言葉が定着していた。
――――――——――*゜――*゜――
「次のお時間はお外で元気に遊びましょうねー!」
「「はーい!!」」
先生の声の後、一斉に子供達が外へ向かっていく中、そんな光景を知優は一人ただ眺めていた。
幼稚園の教室で、心細さを感じながら。