風の子坂を駆けぬけて
健は少し嫌がっているようにも見えたが、明日香にされるがままという感じだった。
(そうだもん……。いつもたー君は、怒らない)
知優は明日香達の中に加わることはなく、一人もやもやしていた。
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小学校に上がり、知優、胡桃、沙耶、明日香、そして健も一緒にみんな同じクラスになった。
数少ない仲の良い友達が一緒のクラスともなれば、知優はもう本当に救われた思いだ。
むしろ心強くもある程。
クラスの中でのちょっとした流行りもの。
それはその時々で変わっていく。
入学して間もなく彼女達のクラスの中で流行り出したのが、プロフィール帳。
バインダーから紙を取り出し、書いて欲しい人に渡し、書き終わったら戻してもらう。
このやり取りが休み時間を賑わしていた。
もちろん、彼女達4人もその中の一人で、それぞれ持ち寄ったプロフィール帳をクラスメイトに配っていた。
ただ、知優のプロフィール帳だけはなかなか配れず、埋まっているのは今のところ、胡桃と沙耶の分。