風の子坂を駆けぬけて
もちろん、知優は誰にも言っていなかったし、胡桃も誰にも言わないでいた。



秘密は2人の仲をより強固なものにしていった。



帰り道は決まって2人の秘密の恋バナ。


「昨日もね、帰りのバス隣に座って話したんだー。でもね、最近こころちゃんて子がさ、だいちゃんと話してると来るんだよねー。これってさ、こころちゃんもだいちゃんのこと好きって感じかな?」

胡桃は真剣な眼差しをしながらずいっと知優に寄る。

「うーん。もしかしたら?ありえそう…かな」

「ええー。やっぱりぃ?やだなぁ」


胡桃を不安にさせないようにと、言葉をできるだけ選んだものの、彼女はぶすっとふてくされた。
確定した訳ではないけれど、少なからず好意がなければ、話す機会を持とうと思わないはず。


でも、これでお互いの恋にライバルが居るという同じ状況に突入したわけだ。



「絶対負けたくないもん私!ね、ちゆー、うちら頑張ろうね」

「うん!そうだね!」


こうして再び2人は誓い合うのだった。

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