風の子坂を駆けぬけて
こういう時の逃げ場所にうってつけなのが、図書室か空き教室だ。

図書室の場所は1年生の教室がある同じ2階で、廊下の突き当たり。


バレないように駆け込む。


無事図書室に着き、ほっとして胸を撫で下ろす。
呼吸を整えながら窓に近づき、校庭でドッチボールをして遊ぶ同じクラスの子達をぼんやり眺めた。


(なんでこんなに冷や冷や怯えて、逃げたりしているんだろう、早く、早く夏休みにならないかな…。)


らくがき帳と鉛筆も一緒に持ってくればよかったと、少し後悔しながらも、ここに誰も居ないことが今の彼女の唯一の救いだった。





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