風の子坂を駆けぬけて
自然に生まれた【ないしょ話】。
あの時みたいに、約束した訳でもないのに。
それなのに、どうしてこんなに嬉しいんだろう。
どうしてこんなに幸せなんだろう。
おまけにワクワクさえしている。
複雑なことは分からないし、余計なことも考えたくない。
今この気持ちが本当なら、それでいい。それがいい。
モヤモヤしていた気持ちは、冷たいラムネソーダ水のようにパチパチ弾けて飛んでいってしまったかのようだった。
彼女の小学生初めての夏休みは、そんなとっておきの魔法と共に始まるのだった。