風の子坂を駆けぬけて
(やっぱり…。そう来たか。)
心の中ではそっと覚悟していた。
「そうなの?でもさ、みんなの前で演技って私自信ないなぁ」
「じゃあ、あっちんはどんなのがいいの?」
半ば強引に主張した胡桃に対し、はっきり自分の気持ちを述べる明日香が興味を示すのは…、
冊子をパラパラめくっていくと、バンとみんなの前でページを開く。
「これ!私はこれだな。鼓笛隊クラブ!」
「「ええー!」」
3人は一様に声を揃えた。
知優を始め、名前は聞いたことがある程度でみんなは詳しくは知らなかった。
「本当はね、吹奏楽ってのやりたかったけどなかったから、一番近い鼓笛隊に入りたいんだ」
「それって、あれだよね、確か…運動会の開会式に行進してたよね。1、2年の頃だったっけ。最近やってなかったみたいだけど」
早口になり、沙耶が話しだす。
「そうそう!あれ憧れてたんだあ!」
「思い出した!ステッキみたいなの持ってみんなで校庭歩いてたよね、太鼓とかもあった!」
「あと笛もね!」
「いいじゃんそれ!演劇やめて私も鼓笛隊クラブにしようかな」
さっきまでの勢いはいずこ、あっさりと胡桃は変更希望。