風の子坂を駆けぬけて

(やっぱり…。そう来たか。)


心の中ではそっと覚悟していた。


「そうなの?でもさ、みんなの前で演技って私自信ないなぁ」

「じゃあ、あっちんはどんなのがいいの?」


半ば強引に主張した胡桃に対し、はっきり自分の気持ちを述べる明日香が興味を示すのは…、

冊子をパラパラめくっていくと、バンとみんなの前でページを開く。


「これ!私はこれだな。鼓笛隊クラブ!」


「「ええー!」」



3人は一様に声を揃えた。


知優を始め、名前は聞いたことがある程度でみんなは詳しくは知らなかった。


「本当はね、吹奏楽ってのやりたかったけどなかったから、一番近い鼓笛隊に入りたいんだ」

「それって、あれだよね、確か…運動会の開会式に行進してたよね。1、2年の頃だったっけ。最近やってなかったみたいだけど」


早口になり、沙耶が話しだす。


「そうそう!あれ憧れてたんだあ!」

「思い出した!ステッキみたいなの持ってみんなで校庭歩いてたよね、太鼓とかもあった!」

「あと笛もね!」

「いいじゃんそれ!演劇やめて私も鼓笛隊クラブにしようかな」


さっきまでの勢いはいずこ、あっさりと胡桃は変更希望。
< 41 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop