風の子坂を駆けぬけて
「あ、待って待って、みんな止めて。…知優ちゃんだよね。今違うとこ弾いてなかった?」
パートリーダーである6年生の岩佐桜子(いわさ さくらこ)が鍵盤ハーモニカの演奏合わせを止めた。
「はい、ごめんなさい…」
名指しされびくつく知優は、とっさに楽譜に目を走らせる。
確かに今どこを弾いていたのか見失っていたのだ。
「ねえー、ちゃんと覚える気あるの?知優ちゃんだけだよ、合ってないの」
「玲ちゃん、ちょっと言い過ぎ。知優ちゃん、あのね…」
桜子は苛立ち悪態をつく、同じ6年である福島 玲(ふくしま れい)をなだめると、知優の席にいき、今弾いている場所を教えに向かった。
優しく教えてくれる彼女に、申し訳なさが募る。
5、6年生が4年生とペアを組み、マンツーマンで教えていて、知優のペアは桜子でもあった。
「大丈夫大丈夫。えっとじゃあさ、知優ちゃんは今弾かないでいいから、私が弾くとこ見ててくれる?」
周りの雰囲気を悪くしないように必死なのが伝わった。
知優も頷くだけで精一杯だった。
楽しそうに今日のクラブの様子を話す胡桃と明日香。
明るく物怖じしない彼女達はすっかり上級生に気に入られ、順調に過ごしていた。
パートリーダーである6年生の岩佐桜子(いわさ さくらこ)が鍵盤ハーモニカの演奏合わせを止めた。
「はい、ごめんなさい…」
名指しされびくつく知優は、とっさに楽譜に目を走らせる。
確かに今どこを弾いていたのか見失っていたのだ。
「ねえー、ちゃんと覚える気あるの?知優ちゃんだけだよ、合ってないの」
「玲ちゃん、ちょっと言い過ぎ。知優ちゃん、あのね…」
桜子は苛立ち悪態をつく、同じ6年である福島 玲(ふくしま れい)をなだめると、知優の席にいき、今弾いている場所を教えに向かった。
優しく教えてくれる彼女に、申し訳なさが募る。
5、6年生が4年生とペアを組み、マンツーマンで教えていて、知優のペアは桜子でもあった。
「大丈夫大丈夫。えっとじゃあさ、知優ちゃんは今弾かないでいいから、私が弾くとこ見ててくれる?」
周りの雰囲気を悪くしないように必死なのが伝わった。
知優も頷くだけで精一杯だった。
楽しそうに今日のクラブの様子を話す胡桃と明日香。
明るく物怖じしない彼女達はすっかり上級生に気に入られ、順調に過ごしていた。