風の子坂を駆けぬけて
「ちゆー!」
帰りの会が始まる前、目をキラキラ輝かせ、ポニーテールを弾ませながら彼女のいる席に飛びつく。
「どうしたの急に」
「あのね、隣りのクラスの先生から連絡帳届けて欲しいって頼まれたの。須藤健君の」
「すど…、たける。たー君の?」
「そう!ちゆーの方が家近いでしょ?だからこれ、ちゆーに渡すね」
表紙の角がよれて、少しくたっとなった連絡帳を受け取る。
「うん。今日休みだったんだ…」
「なんかね、風邪みたいだよ。これでお見舞い、行けるね。やったじゃん」
「うんっ」
こうして、会いに行ける“口実”ができた訳だ。
胡桃も知優が今でも彼を好きだということにしっかり気づいていた。
明日香にこの話が漏れたらきっと、自分も行きたいと言いかねない。
胡桃のナイスアシストに感謝しつつ、ちょっとした抜け駆けには明日香に心の中で謝った。
(でもこれは、頼まれたことだし、家が一番近いんだい、仕方ないよね。)
そう言い聞かせ正当化しようとしていた。
帰り道、本当に健の家のすぐそばまで胡桃も一緒に来ていたが、邪魔しちゃ悪いと帰ってしまった。
なにせ健の母親とも最近は全く顔を合わせていないのだから、緊張しない訳がない。
帰りの会が始まる前、目をキラキラ輝かせ、ポニーテールを弾ませながら彼女のいる席に飛びつく。
「どうしたの急に」
「あのね、隣りのクラスの先生から連絡帳届けて欲しいって頼まれたの。須藤健君の」
「すど…、たける。たー君の?」
「そう!ちゆーの方が家近いでしょ?だからこれ、ちゆーに渡すね」
表紙の角がよれて、少しくたっとなった連絡帳を受け取る。
「うん。今日休みだったんだ…」
「なんかね、風邪みたいだよ。これでお見舞い、行けるね。やったじゃん」
「うんっ」
こうして、会いに行ける“口実”ができた訳だ。
胡桃も知優が今でも彼を好きだということにしっかり気づいていた。
明日香にこの話が漏れたらきっと、自分も行きたいと言いかねない。
胡桃のナイスアシストに感謝しつつ、ちょっとした抜け駆けには明日香に心の中で謝った。
(でもこれは、頼まれたことだし、家が一番近いんだい、仕方ないよね。)
そう言い聞かせ正当化しようとしていた。
帰り道、本当に健の家のすぐそばまで胡桃も一緒に来ていたが、邪魔しちゃ悪いと帰ってしまった。
なにせ健の母親とも最近は全く顔を合わせていないのだから、緊張しない訳がない。