風の子坂を駆けぬけて




ただ、沙耶がいつも外では遊ばずに、中で絵を書いている本当の理由を知ったのは、それからずっと後の事だった。






確かな事は知優と沙耶は絵が好きという事。


そこに偽りは無く、純粋に心から楽しめるものであった。










――――――――――*゜――*゜――



ある日の幼稚園の帰り道の事。



知優の隣にはいるのは、胡桃ではなく男の子。

幼稚園で知り合った、同じクラスの健(たける)だ。



少しぽっちゃりさんで、とても愛想のいい元気な男の子だ。




知優一家は健一家とも家族ぐるみで親しく、一緒にキャンプに行くこともあった。




知優が唯一話せる、男の子でもある。

と言っても、幼稚園では一緒に遊ぶことは滅多になく、彼は彼で他の男の子と遊んでいたからだ。



それでも、たまにこうして一緒に帰ったりしていた。
< 6 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop