風の子坂を駆けぬけて
ただ、沙耶がいつも外では遊ばずに、中で絵を書いている本当の理由を知ったのは、それからずっと後の事だった。
確かな事は知優と沙耶は絵が好きという事。
そこに偽りは無く、純粋に心から楽しめるものであった。
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ある日の幼稚園の帰り道の事。
知優の隣にはいるのは、胡桃ではなく男の子。
幼稚園で知り合った、同じクラスの健(たける)だ。
少しぽっちゃりさんで、とても愛想のいい元気な男の子だ。
知優一家は健一家とも家族ぐるみで親しく、一緒にキャンプに行くこともあった。
知優が唯一話せる、男の子でもある。
と言っても、幼稚園では一緒に遊ぶことは滅多になく、彼は彼で他の男の子と遊んでいたからだ。
それでも、たまにこうして一緒に帰ったりしていた。