風の子坂を駆けぬけて
席替えと共に決まる班は、無作為ではないことから、親しい子ばかりが寄り集まる訳ではないため、正直苦手な子と同じ班になることもしばしば。


そして、知優も今現在苦手な男子と同じ班だった。




食べながら会話をする班のメンバー。
でもそこで知優は一人黙々を食べるだけだった。

食べることに集中していれば、それでいいと。

班の子も、そんな知優を容認してか無視して会話を弾ませていた。



これが、いつもの光景。



この日もそうやって、彼女は時間をやり過ごそうとしていたそんな矢先。




プシュッ



冷たい水が顔に当たった。


すぅっと頬から滴り落ちる。


水ではない、それは牛乳だった。




「あ、やっべー」

「もー何してんの?」

「そっちに飛ぶと思わなかったからさー」


第一声は、あの苦手とする男子。


「ぷっ。あはははは」

「ちょ、笑っちゃまずいよ」

「これさ、もっと飛ぶかな」

「やってみれば?」


知優は箸を持っていた手を止める。

何が起きているのか、起ころうとしているのか、頭が追い付かない。


ブシャッ


次に当たったのは前髪だった。







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