風の子坂を駆けぬけて

急にざわつき始める教室。




先生が入ってきて、これから朝の会が始まるというのに、何だか様子がおかしい。
なかなか静かにならないのだ。


「どうしたんだろう?」

「ね、なんかみんな落ち着かない」


らくがき帳を閉じ、借りていた鉛筆を3人が明日香に返し、それぞれ自分の席に戻ろうとした時、どこからか聞こえた噂話が胡桃の耳に入った。

「転校生くるらしいよー!男子」



自分の席に戻ろうとした向きをくるっと引き換えし、知優と沙耶を捕まえ明日香の席に再び集まる。


「ねねね、転校生、来るらしいよー!」

胡桃は速攻で聞いた噂を伝える。
声を潜めつつも、かなりテンションが上がっている。


顔を見合わせ、一様に驚く3人。


「はーい、みんな席についてー!ほらほら、早く」


後でね、と解散すると3人は席に戻り、ドキドキと緊張感がクラス中にじわじわ広まる。

みんなの視線は廊下に向けられていた。















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