風の子坂を駆けぬけて


「あー、言われてみればそうかも」

「他の男子達がガキっぽいだけかもしれないけどねー。しかも、頭も良いし、えーっとこういうの何て言うんだっけ?」

最後の一冊を本棚に戻すと、カウンターに戻りながら明日香が聞く。


「うーんと、非の、打ちどころがない、だっけ」

「それ!」

「あっちんはさ、丹羽君のこと好きじゃないの?」

「えー、違うかな。恋愛としてはタイプではない。でも、いい奴だとは思う!よく勉強教えてくれるし」


通う塾も一緒だったことから、明日香と丹羽は去年から勉強を教え合う仲になっていた。

胡桃も交えて休み時間に勉強をしているところを度々見かけていたが、知優はその中に入れずにいるのだった。


健のようにフランクで陽気な雰囲気とは真逆だったし、はたまた悪ふざけばかりしている男子とも違う丹羽 響。



そんなことで、今までに居ないタイプなこともあってか、あからさまに苦手意識を持ってしまった知優は、転校してきた当初から今現在もまともに会話をしたことがないままだった。





明日香と途中で別れ、胡桃と知優の2人になった帰り道、知優は昼休みに明日香が丹羽のことで話していた内容を胡桃に伝えた。





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