風の子坂を駆けぬけて
設定は母親とその子供だ。
「ちゆーちゃん、きょうのゆうはんは、なにがいいかなぁ?」
母親役の健はそれらしく言う。
「うーんとね、ハンバーグがいい」
「はーい!ちょっとまっててね。いまからつくるねー」
おもちゃの食べ物が入ったカゴからハンバーグを取り出す。
作り物だとわかっていても、何だかわくわくする知優。
フライパンにハンバーグを乗せ、見よう見まねで健はカシャカシャとフライパンを動かす。
ところが、勢い余って、フライパンからハンバーグが飛び出てしまい……。
「ああーー!おちちゃった」
ポーンと飛び出たハンバーグはドアのとこで虚しく落下。
「あーあ…」
「どうしよっか」
同時にがっくりと肩を落としていると、側でドアが開いた。
「なんだこれ、ハンバーグ?よーし、兄ちゃんが作り直そう」
そう言って拾い上げたのは、健の兄である、漣(れん)。