風の子坂を駆けぬけて
自ずと意識してしまう知優。
あんなことがあって、あらぬウワサを立てられ、意識しないという方が無理な話だった。
その一方でウワサの本人である丹羽はいたって変わらない様子。
好きな人はいるのか、それは誰なのか、付き合ってる人はいるのか、そして、知優とは付き合っているのか……と。
まるでマスコミの突撃取材のごとく、ほぼ毎日質問責めに遭っているのだ。
しかし、どんな質問でも彼はちゃんと受け答えた。
『好きな人はいない』『彼女はいない』と、はっきり否定していた。
そんな真面目な姿に、ウワサがあっても返って評判は爆上がりで、ファン層が減ることはなかった。
それぞれが抱える思いもあるが、2人の関係に何も無い、といえばそれは間違いだった。
休み時間に知優がいつものように絵を描いていると、健がちょっかいを出しにくることは度々あったが、そこには丹羽の姿もあったのだ。
これは修学旅行が明けてからの変化だ。
「書かせてー」
「ちょちょ、また勝手にー!」
突然やってきてはノートの隅っこに犬やら猫やらうんちやら、適当に落書きしては逃げていく。
健の隣で落書きの絵を見て、丹羽はクスッと僅かに微笑むだけだが、彼の意外な姿にはドキドキして視線を合わせられずにいた。
あんなことがあって、あらぬウワサを立てられ、意識しないという方が無理な話だった。
その一方でウワサの本人である丹羽はいたって変わらない様子。
好きな人はいるのか、それは誰なのか、付き合ってる人はいるのか、そして、知優とは付き合っているのか……と。
まるでマスコミの突撃取材のごとく、ほぼ毎日質問責めに遭っているのだ。
しかし、どんな質問でも彼はちゃんと受け答えた。
『好きな人はいない』『彼女はいない』と、はっきり否定していた。
そんな真面目な姿に、ウワサがあっても返って評判は爆上がりで、ファン層が減ることはなかった。
それぞれが抱える思いもあるが、2人の関係に何も無い、といえばそれは間違いだった。
休み時間に知優がいつものように絵を描いていると、健がちょっかいを出しにくることは度々あったが、そこには丹羽の姿もあったのだ。
これは修学旅行が明けてからの変化だ。
「書かせてー」
「ちょちょ、また勝手にー!」
突然やってきてはノートの隅っこに犬やら猫やらうんちやら、適当に落書きしては逃げていく。
健の隣で落書きの絵を見て、丹羽はクスッと僅かに微笑むだけだが、彼の意外な姿にはドキドキして視線を合わせられずにいた。