風の子坂を駆けぬけて

こういう時決まって率先して行動するのは明日香だ。

面倒がらずに手を焼く姿はさすが親分肌といったとこだろう。



そんな彼女に知優も胡桃も信頼していた。

だからネガティブ思考に陥りがちなとこに、明日香の提案にはひとまず胸を撫で下ろしたのだった。





この風の子坂を4人でまた上る日が来ることを、それぞれが思い馳せていた。







あれから明日香によると、沙耶の休みの理由は、体調が思わしくないからということが分かった。
それでも具体的な理由までは明かされていなかった。


原因不明だっただけに、それだけでも彼女達は少し気が楽になったのだった。




最後の冬休みもあっという間に明け、いよいよ卒業式が目前となっていた。





体育館での式の予行練習が続く日々。

吐く息はまだ白く、手もかじかむ程だ。





隣のクラスの列には、やはりまだ沙耶の姿はなかった。



彼女の姿を見たのはそれから一週間後のことで、卒業式もあと数日というギリギリでの復帰だった。


大丈夫?元気だった?第一声はそんな気に掛ける言葉だったが、すぐにいつもの調子を取り戻していく4人の笑い声がそこにあったのだった。










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