モテてしまう俺
俺はドキドキしながら袋に入ったくじを取る。
『やっぱこれはダメだ!!』
そう思い、さっき取ったくじを袋に戻し、また新しいくじを手で探った。
そんな俺を見ていた室長は少し睨んでいたが、今の俺には関係なかった。
くじを引くのにこんなに必死になったのは、生まれて初めてだ。
いつもは適当に選んでいたから。
『これだっ!!』
思った瞬間、俺は袋から手を出した。
引いたくじを室長に渡し、自分の席についた。
「真地は〜19番!!」
それを聞いた副室長が黒板に書いてある席順に俺の名前を書いていった。
俺の新しい席は、窓際の後から二番目だった。
まだ坂田の番はきていなかった。
坂田の番がくるのには、まだ人が多すぎた。
なぜか身体がいらつきを覚えてしまった。
「おい、真地どした?」
そんな俺に気付いた淳也が心配そうに後から声をかけてきた。
「なんもねーよ」
顔を後ろに向けず、黒板を見ながらそう答えた。
胸がドキドキしていて、何だか気持ちが悪かった。