mariage~酒と肴、それから恋~《5》
手作りの燻製器と、木製のテーブルとベンチ。

思ってたよりこじんまりとしてるけど、一人で楽しむなら十分だろう。

「いい感じに仕上がってるじゃないですか」


「だろ?頑張ったんだよ~~」

と、ご機嫌。まるで子どもが無邪気に工作を披露するような微笑ましさだ。

可愛いな。

40超えたオッサンなんだけど(笑)


成海さんはテーブルの上にヤカンを置いた。

テーブルの上には、お皿に乗ったチーズ。とフォーク。

それから、梅酒の大ビン(今年私が成海さんにあげたたもの)。
飲んでくれてるんだな。残りが少なくなっていた。

あと、グラス二個。


「煙の抜き方とか、燻す時間とか、スモークチップの種類とかで全く味が変わってくるんだ。意外と奥深いんだよ。

色々試してみて、やっと好みの燻製ができるようになったんだ」

誇らしげに、燻製チーズを披露する。


燻製されて、茶色になったチーズ。
スーパーとかで売っているスモークチーズと同じ色だ。

「一番に月子に味わって貰いたくて」


何よ、それ、嬉しい。にやけそうで顔を伏せる。

…待て待て私。恋心を膨らませに来た訳じゃないんだから。


「月子、今日は泊まっていかないか?」
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