mariage~酒と肴、それから恋~《5》
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毎年梅酒を作っては、毎年届ける人がいる。


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6月上旬。

去年作って、一年漬け込んで、飲み頃になった梅酒のビンを乗せて、この道ももう9回目。


都市部から車で二時間。

周囲を山で囲まれた田園風景広がるのどかな田舎町。

いかにも田舎の日本家屋って感じの小さな一戸建て。
その広い庭先に車を止める。


私の車に気づいて、のっそりと現れたのは、ヨレたラフな格好をした40代男。

この家で一人で暮らしている。

私の顔を見てニッコリと歓迎の笑顔が向けられた。


「成海(ナルミ)さん!」

車から飛び降りて、手を降り、その40代男に駆け寄った。

会うの1年ぶり。

「も~、成海さんたら、休日だからって、ヒゲくらい剃ってくださいよ。髪もとかしました?」


「面倒なんだよね~」

と成海さんは大あくびして、

「いらっしゃい、月子(ツキコ)」

整った温もりのある顔が、私と向き合って、また優しく微笑んだ。
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