mariage~酒と肴、それから恋~《5》
「ところで成海さん、庭で何か作ってるんですか?」

金属製の大きめバケツのような缶。

それから七輪、電動ドリル、ペンチ、焼き網…など。

日曜大工の最中のような、木材やレンガなんかが庭に無造作に転がっている。


成海さんは、しゃがんで金属製のバケツを手に持った。

「ペール缶で手作りのスモーカーを作ろうと思って」


「スモーカー?」それペール缶っていうんだ。


「そう。燻製器。缶の中に煙を充満させて燻すんだよ」


燻製…?スモークサーモンとか、スモークチーズとか、燻玉とか?

最近自家製が流行ってるってよく聞くあの燻製のこと?!

「それは何でまた?」


すると成海さんはお茶目にピースして見せた。

「男やもめ、ちょっと趣味でも作ろうと思ってさ。
折角庭広いから、自家製の燻製なんてやってみようかと思って」


「それで1から手作りしようなんてスゴいですね!」

燻製器の材料をマジマジと眺めた。

いつの間に趣味なんて作ってたんだ。


「出来上がった燻製を庭で食べるのもオツだろ?
テーブルとベンチも設置しようと思ってるんだよね」


「人呼んで燻製パーティーでもするんですか?」
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