mariage~酒と肴、それから恋~《5》
送られてきたお米と野菜と一緒に入っていた手紙には、“美味しい梅酒をありがとう。元気出たよ”の文字。
久しぶりに見る成海さんの直筆。
込み上げてくるものを押さえられなくて、炊いた白米食べながら泣いた。むせび泣いた。
成海さんが好きだ。
憧れなどではなく、恋だったのだと悟った瞬間だった。
悟ったところで前にも後ろにも進めなくて、ただ成海さんと繋がりを絶つのが嫌で、また一緒に働ける日がくるかもって期待も捨てきれなくて…。
ずるずる仕事を続けて、いつの間にか勤続10年だ。
「そういや、月子、主任になったんだって?」
設計図を書いたメモを見ながら、ちらっと聞いてきた。
「ええ。お陰さまで。ご存知だったんですね」
「出世したなぁ~。支店でも噂になってるよ。
本社で、仕事デキる美人が主任になったって」
茶化すような視線を向けてくる。
「うそだ~」
「ほんとほんと。支店の連中に、その美人の主任は元俺の部下だって、育てたのは俺だって言ったら、揃って嘘だ~って言われるんだけどな」
「何それ」
クスクスと笑う私の顔を成海さんはしげしげと懐かしそうに見た。
「入社したばっかだと思ってたら…」
「私、もう10年目ですよ」
久しぶりに見る成海さんの直筆。
込み上げてくるものを押さえられなくて、炊いた白米食べながら泣いた。むせび泣いた。
成海さんが好きだ。
憧れなどではなく、恋だったのだと悟った瞬間だった。
悟ったところで前にも後ろにも進めなくて、ただ成海さんと繋がりを絶つのが嫌で、また一緒に働ける日がくるかもって期待も捨てきれなくて…。
ずるずる仕事を続けて、いつの間にか勤続10年だ。
「そういや、月子、主任になったんだって?」
設計図を書いたメモを見ながら、ちらっと聞いてきた。
「ええ。お陰さまで。ご存知だったんですね」
「出世したなぁ~。支店でも噂になってるよ。
本社で、仕事デキる美人が主任になったって」
茶化すような視線を向けてくる。
「うそだ~」
「ほんとほんと。支店の連中に、その美人の主任は元俺の部下だって、育てたのは俺だって言ったら、揃って嘘だ~って言われるんだけどな」
「何それ」
クスクスと笑う私の顔を成海さんはしげしげと懐かしそうに見た。
「入社したばっかだと思ってたら…」
「私、もう10年目ですよ」